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2019. 02. 18  
<ヒューマニティの経済モデル>

表向きには報酬を求めない経済行動である「ヒューマニティ」であるが、期待値が低い経済報酬があると仮定してヒューマニティの経済行動をモデル化することが可能であると私は考えている。
経済報酬は、単に金銭に換算価値できるものと限らないことが、ヒューマニティの特徴である。
勲章などの代替物が報酬であり、自他の欲求が満たされることが報酬なのである。
また人によってその報酬の価値が大きく変わるため、価値の計測が難しいことも特徴である。


〈ヒューマニティと経済学的な相対性〉
これまでの授業で扱ってきた経済学では、基本的に金銭と、財やサービスを交換する。

対して、ヒューマニティの報酬は、金銭に換算することが困難な物や、人によって金銭価値が著しく変化する物が、金銭と取引されたとみなすことによって、その時の、その人の実質的な価値、つまり相対的な価値が決定されるのである。


「ヒューマニティ」の相対性を説明するために、具体的な事例で検討してみる。

寄付を行っていれば、勲章がもらえる都市があったとする。名誉のために勲章を欲しいと考えている企業経営者のAさんは、この都市に、寄付を毎年行っている。ただし、いくら寄付をすれば、勲章をもらえるという決まりはない。

都市側にとってみれば、勲章の授与には、金額だけでなく、人数も勘案するであろう。みんなが勲章を持っていれば希少性がなくなり、有難みがなくなるからである。
都市側が希望の数量のみ取引を成立させること、つまり勲章を授与することで、実質的に勲章の価値は上下することになる。
Aさんは勲章をもらえる金額がわからないまま、寄付を続けるが、ある年は1億円で勲章がもらえて、ある年は5000万円で勲章がもらえることが起こりえるのである。
その金額が、事後的にわかるAさんの勲章の実質的価値である。2年間で算出される期待値は7500万円である。


これまでの経済学が、「絶対評価」で財やサービスを主に評価していたことに対して、相対性を対象とした経済学では「相対評価」で実質的な価値が決まるのである。


〈経済学における相対性のまとめ〉

”アインシュタインが「相対性理論」を検証するにあたり、「ここから導き出される結論の一つでも誤っていることが証明されれば、私はすべてをあきらめなければならない」と述べた。科学的理論が無効であることを示すには、たった一つの反証を挙げればよいのである。経済学は立証責任が低い。 ”とティリングハスト氏は述べている。

ジョエル・ティリングハスト 「ティリングハストの株式投資の原則」p133-134 一部編


経済学は、全ての人を対象とした経済行動様式を説明してしまうような、神羅万象を司る公式が見つかっていない学問といえる。
人間の価値観や行動様式は、多種多様であり、極端な仮定が存在しなければ、人の意見が100%一致して行動に結びつくことは困難である。その多様性が、生命存続にも役立ってきたのであろう。


経済学での相対性の概念を以下にまとめてみた。

同じ時に、同じ物であれば、絶対的に価格が決まっている一物一価の法則に対して、同じものでも価格に差異が生じていることを、経済学的な相対性があるという。

「3種の相対性」

1、「時間による相対性」
同じ物でも時間の変化によって価値が変化すること。

2、「空間による相対性」
裁定が働かない閉鎖市場や相対取引により、同じ時点において、同じ物の価格が2つ以上発生していること。
基本的に経済学では、空間とは、時を同じくとしていて、対象となる立場や場所に存在している人全員をひっくるめたものであると想定している。 (もっと良い説明の仕方がありそうだが、思い浮かばない)

3、「時空による相対性」
同じ物でも、時と空間が違う時に、生じている価値の違いのこと。


〈経済学における相対性の可能性〉

経済学の授業では、自由経済で効用を最大化するモデルを考えてきた。社会的厚生が最大に近づけるように、社会政策にも実際大きく寄与してきた。
しかし、現実の世界は、差別化戦略のように、コモディティ化を避けて、完全競争市場への参入を売り手は避ける傾向がある。

ミクロレベルの経済活動の一部をノイズとするのではなく、現実を相対性があると評価して、仮定や条件などで縛られた経済モデルでは捕捉しきれない経済活動を含めて、マクロ的視点で経済を評価していく必要があるのではないか。

マクロ経済において、ランダム論、あるいは確率論的に意思決定が変化していく様子を、相対性の概念で説明していくことが可能になるのではないか。
ビックデータなどの活用によって巨大なデータを分析できるようになり、すべての経済活動を可視することができるようになった時に、何らかの法則、習性に従って行動するグループ群が、まとめてどう行動するのか。相対性の概念を持っていた方が、現実の説明を行いやすいのではないか。

経済は思ったよりも複雑で難しい。相田みつをならばこう言ってくれるかもしれない。
「違ったって いいじゃない 人間だもの」


〈おわりに〉

経済学の論争は、時に取り返しのつかない血の争いを引き起こしてしまう。
資本主義と共産主義が対立した東西冷戦は1990年初頭にソ連が崩壊して、大きく緊張が緩和された。
しかし、それまでに、多くの犠牲があった。
1950年代に起こった朝鮮戦争は400万~500万人の死者を出した言われている。
1960年代から70年代かけて起こったベトナム戦争は、200万人~400万人の死者を出したと言われている。
近代経済学とマルクス経済学の学術的な対立が、権力闘争となる遠因になってしまったのならば、歴史的不幸であった。
100年も200年も前に、経済学者たちが、理不尽や貧困に苦しむ人たちを見て、もっと多くの人が、豊かに、幸せに暮らせる方法を考えた結果だとしたら。


私たちは今、経済戦争の真っ只中にいる。
私たちは、自分にあった優れたものを求めることができる。
私たちはアメリカメーカーの車も買うこともできるし、中国メーカーの車を買うこともできる。
あなたが中国人で、憧れという理由でアメリカメーカーの車を買っても、中国国家から市民権を剥奪されることもないし、公務員の職を追われることもないであろう。
あなたがアメリカ人で、安いという理由で中国メーカーの車を買っても、アメリカの公権力により、盗聴器を仕掛けられたり、行動を監視されることもないであろう。

国家間の意見の対立により、戦争を強いられた市民や犠牲となった民間人の痛みを、我々は強く心に刻んできたはずである。
我々は、国家の意向に沿わないという理由だけで、基本的権利を制限されることはあってはならない。
我々は、国家間の争いに関わりたくなければ、関わりたくないと言えるし、経済戦争の公平な競争の恩恵だけを受ける権利を有するのである。

人間が合理的でも、非合理的でも、完全に証明できないのであれば、経済学者たちは、相手が間違っていると言い争うだけでなく、何をすべきか考えるべきである。


全ての人が、恐怖に怯えることなく、生まれもった基本的権利を自由に行使できる。

そのことが、「経済人(homo economicus)」として、必要最低限の仮定なのだから。



Let it be- The Beatles (LYRICS/LETRA) [Original]


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ハゲナルド

  • Author:ハゲナルド
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    全紙幣の1%未満の2000円札と出会うって幸運の予感!
    電子マネーと2000円札があれば事足りる社会はすぐそこに!?

    社会的提言を発信しています。社説カテゴリー
    ①限りある資源の有効活用!
    日本は世界有数の高い労働、資本コストだが、既存資産の回転(稼働)率を上昇させることで生産性は向上する。
    ②積極投資による日本経済活性化!
    国内の余剰資金は主に日本国債に流れているが、国は有効な投融資を行い海外の発展(世界総中流化)に貢献することで、国の経済成長につなげるべき。
    ③投機より投資による経済成長を!
    持続可能な経済発展を成し遂げるには価格上昇率(投機)より投資のリターンであるGDPの伸び率を高める(⊿GDP>⊿PRICE)必要がある。
    ④省資源社会実現による世界総中流化実現を!
    世界中流化で予想されるエネルギー不足には天然資源の買い占めではなく、人的資源を大量に使用する省資源社会の実現で対応する必要がある。(トーマス・フリードマン著「グリーン化革命」は必読あれ!)
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